2018年11月18日

大阪高校での涙活

【本記事は、クライアントさまご要望により、こちらに掲載しております】
今話題となっている活動として、「涙活」があります。
前回、名古屋の愛知県産業労働センターで行われた涙活講演会をまとめましたが 、今回は、大阪高校での生徒向け涙活イベントをまとめました。

※涙活とは、能動的に涙を流す(2〜3分間で十分だとされています)ことによって心をリラックスさせる活動。

なみだ先生こと感涙療法士の吉田英史先生は、中学や高校でも涙活イベントを実施している。
今回の対象は高校2年生。
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まずは、映像鑑賞から始まります。
2〜3分から5,〜6分の短い映像が立て続けに流れます。
病のなか必死に生きる飼い猫の姿を描いたものや、
「お前は素晴らしいんだから」と小さいころから母から励まされることで成長していく息子の姿を描いたものなどさまざまな映像が流れます。
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思わずハンカチを手にする生徒たち。
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鑑賞後、吉田先生は生徒たちに「どの映像が一番泣けたか?」と尋ねましたが、その答えはばらばらでした。
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「泣きのツボは人それぞれ」と吉田先生。
映像を見て涙を流す瞬間というのは、その映像にその人の人生経験が投影されるそうです。歩んでいる人生が一人ひとり違うことから、泣くジャンルも異なります。そのため、家族物 、動物物、恋愛物、アスリート物など、複数のジャンルの映像を流します。どこがその人の泣きのツボなのかを見つけてもらうというのが、この涙の授業の一つの狙いだそうです。

続いて、「涙作文」という取り組みを行いました。
生徒の皆さんに10分ぐらいで泣ける話を書いてもらいます。
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書くだけでは終わりません。発表もしてもらいます。
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発表中に泣き崩れる生徒も。
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「話を書くことで、自分のあり方を見つめられます」と吉田先生。
泣くという感情や、「なぜ人は泣くのか」について思いをめぐらせてもらうことで、自分と向き合うことになるのだそう。また、このワークは、生徒の表現力・発想力・伝達力・ 傾聴力が試される場にもなり、現場の先生にも好評だといわれています。
作文というと、なかなか生徒にはハードルが高いと思いきや、ここではすらすら書き出す生徒が大半だそうです。

その理由は、映像鑑賞で涙を流した直後にやるから。

泣いた後というのは人は本音を出しやすい心理状況になるため、どんどん言葉が出てくるのだとか。。
観た映像も書く題材の一つのヒントになっているようで、起承転結の筋が通った立派な文章も出てくるのだそうです。
また作文を書く効果の一つとして、「自身の泣きのツボを深めることができる」というメリットもあります。
人を感動させ泣かせるために、嫌が応 にも自分の泣きのツボが何なのかを考えることになります。
その結果、自分がどういう場面に弱いのかを知り、涙活習慣(後述します)に生かせるようになるということでした。


次に、吉田先生から涙についてのレクチャーが始まります。
その内容を箇条書きすると下記のようになります。

@ストレス解消の仕組み
涙を流すことで、自律神経が交感神経から副交感神経に切り替わりリラックスできるようになる

A3種類の涙の話
涙には3種類あります。
・ドライアイ防止や角膜保護のために常に分泌される「基礎分泌の涙」
・玉ねぎを刻んだ時や目にゴミが入った時に防御のために出る「反射の涙」

・悲しみや感動で流れる「情動の涙」
の3つです。です。

「基礎分泌の涙」と「反射の涙」には、ストレス解消の効果はありません。
ストレス解消に効果があるのは、今回生徒たちに流してもらったような「情動の涙」です。

「情動の涙」とは、コミュニケーションや共感を司り、脳の司令塔とも呼ばれる「前頭前野(別名:共感脳)」 に血流が増え、感情が高まることで流れる涙のことです。高まっているさまざまな感情を抑え、心身をリラックスさせる力が秘められています。

B涙活習慣
涙は1粒流すだけで、1週間もの間ストレス解消効果が持続します。

C健康教育の話
学校教育の現場では、生涯にわたり心身ともに健やかに過ごすことにつながる健康教育の推進が求められています。涙活体験は、生徒たちが自らの健康課題について認識し考え、その健康の保持・増進のために主体的に行動できる力を育むことを目的としています。

生徒たちから、「へ〜」という声が漏れます。
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次に、泣き言セラピーというワークショップに。
涙の形をした水色の紙、通称「涙レター」に、匿名で泣き言(弱音や愚痴、不満など)を書き出してもらうというもの。
多感な時期の高校生たちですから、10秒ぐらいで書き上げる人もいました。
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その後、吉田先生は涙レターを回収しにいきます。
お賽銭箱のような箱、通称「涙千箱」に、入れてもらいます。
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そして、匿名の泣き言を読み上げていきます。
「勉強がつらい」「人間関係がうまくいかない」「部活で負けて悔しい思いをした」「女の子にふられた」など、
高校生ならではの泣き言が集まっていました。
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聞いている高校生たちに「みんな同じような悩みで悩んでいるんだなあ」と共感してもらうことで、前向きになってもらうというのが泣き言セラピーの一つの狙いだということです。
吉田先生が代理して読み上げることで、読まれた生徒はカタルシスを得るのだそう。みんなに悩みを聞いてもらいたいという心の叫び、苦しさを吐き出すことで、人は前を向いて歩いていけます。


最後は、涙友タイムという時間。
「類が友を呼ぶ」ということわざの類を涙(るい)に変えて、「涙が友を呼ぶ」。
同じ泣きの空間を経験した者同士で、涙活体験を語ってもらいます。
7〜8人が輪になり、吉田先生がファシリテーター(集団で活動するとき、それがスムーズに、あるいは効果的に行えるように導く中立的な役割の人)として、各グループに入り、感想を共有してもらいます。

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ワークでは「どこで泣けたか」をみんなで共有するのですが、なかにはなぜ泣いたかの理由を深刻に吐露する人も出てくるのだそう。泣きの空間を共有しているので、なんでも話せる雰囲気になり他の友人の知らない側面を垣間見ることもあるのです。そしてそれこそが、このワークの目的 でもあります。お互いに同じ思いを共有することで、お互いへの理解が深まり、承認しあえる関係を構築することにもつながります。
またここで他人の泣きのツボを知ることになり、それが自分自身の新しい泣きのツボの開拓にもなり、そのことがまた従来からの自身の泣きのツボを深めるきっかけにもなるのだそうです。


クロージングへ。
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今回、大阪高校の先生からは次の4つの要望をもらったそうです。
その要望と吉田先生のアンサーをまとめます。

@新たなストレス発散の形を見つけられるようにしたい
→健康教育をからめて、随所で、健康の保持増進、メンタルヘルスについての話をします。
Aお互いに同じ思いをシェアすることで、承認しあえる関係を再構築させたい
→泣ける話の創作・発表や、涙友タイムのなかで、そういう関係性の深まりを体験してもらいます。
B非日常のワーク(涙活)と日常生活を結びつけていきたい
→「泣くこと」のリラックス効果を知り、自分自身の健康保持増進の意識を高めること、健やかな日常生活を送ることが可能となります。
Cさまざまな気持ちで迎えた二学期。このワークを使いながらスタートをきりたい
→生徒のあらたな一面を発見することにつながれば幸いです。涙を流す瞬間は、その人の大切にしている価値観が出ます。その価値観を生徒同士でシェアすることで新たな気づきが生まれ、これまでにない良い関係が育まれたら幸甚です。


日本全国の学校で涙の授業(涙活イベント)を実施する吉田先生。これからも活動は続いていきます。

posted by 鍋谷萌子 at 11:28| Comment(0) | 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月21日

涙活ってどんなもの? ストレス解消にも役立つとされる涙活について

今、メディアで話題の「涙活」の実態を取材すべく、愛知県産業労働センター(ウインクあいち)で行われた保健研究大会(涙活講演会)をまとめました。


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今大会のテーマは、「健康教育」。健康教育とは、心身の健康の保持増進を図るために必要な知識及び態度の習得に関する教育をいいます。

※文部科学省「健康教育の推進と学校教育課の設置について」より引用
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19880701002/t19880701002.html

周りを見渡すと、愛知県の高等学校の生徒さんや校長先生・教頭先生・ 保健主事の方・養護教諭の方など、県内高等学校の関係者が約800人も参加しているのが見て取れました。
みなさん、わくわくした表情で、今か今かと登壇者を待っていました。

来賓のあいさつが終わったタイミングで、主催者が吉田英史さんを紹介していました。吉田さんは早稲田大学、同大学院で教育学や心理学を学び、高齢者施設や学校勤務を経たのち、東邦大学医学部教授の有田秀穂先生とともに「感涙療法士」の資格を創立した人です。



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吉田さんの話が始まります。
まず取り上げられたのは、「涙活とは何か」というお話。
涙活とは、積極的に泣くことで心のストレスを流すことを 目指す活動をいいます。
実は、泣くことがストレス解消になるということは、医学的に証明されているということです。

※参考URL: https://www.msd-life-science-foundation.or.jp/banyu_oldsite/symp/about/info/pdf/3-6_085_089.pdf




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「ところで、みなさん、最近、いつ泣きましたか? 最後に涙を流したのはいつですか?」
と観客に呼びかける吉田さん。
「昨日見たドラマで泣きました」
「先週見た映画で泣きました」
「もう30年近く泣いた記憶がない」
などなど 、会場のあちこちから声が挙がっていました。



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その声を受けて、吉田さんは「もう何十年も泣いてない人、本日ぜひ涙活体験をして欲しいです。普段泣いている方は、あとで話す自身の『 泣きのツボ』を深めて欲しいと思います」と続けました。

ここまでが、準備段階です。そしてここからいよいよ涙活体験が始まりました。

まずは「泣ける物語」を吉田さんが朗読するところからスタートです。

タイトルは、「涙Tシャツ」。
病気でなくなった娘の思いをTシャツに託して、前を向いて生きていこうとする母親の物語。
朗読中に、会場のここかしこからすすり泣きが聞こえてきたのが印象的でした。



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物語の朗読の後は、映像鑑賞の時間です。

次から次に感動の涙を誘う映像が会場に流れます。
その内容は、「大人になってからわかるおばあちゃんの料理の味の話」「結婚式で娘のために一生懸命にピアノを弾く父の話」などなど、家族の絆とは何かを考えさせられるものです。



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涙活体験の前に、「泣くことはストレス解消に繋がる」という話がありました。実際に涙を流した後は、もう少しここに踏み込みます。ここからは、「泣くことがなぜストレス解消になるか」ということを解説する授業です。泣く前に教えられた「概要」は、実際に泣いた後には「実感できる」解説に変わります。

吉田さんいわく、「涙を流すことによって人間の自律神経が、交感神経(緊張やストレスを促す)から副交感神経(脳がリラックスした状態にある)が優位な状態へとスイッチが切り替わる」とのことでした涙を流すことによってストレスが解消できるのは、このような仕組みによるものです。



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この「解説」が終わった後も、涙活はまだ続きます。
次に行われるのは、少しユニークな「泣き言セラピー」という体験型講座 です。涙の形をした紙に心の内側に抱えているストレスを書き出し、
涙千箱という箱に入れるというもの。普段人にはなかなか言えない泣き言やストレスを、吐き出してすっきりしてもらおうという考えのもとで作られた講座です。
吉田さん は、日本中の人たちの泣き言を回収してきたそうで、
その数は、2万枚をゆうに超えるとか!



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この集めた「泣き言」に対して、最後に吉田さんから アドバイスが送られます。今回は参加者が多かったので、時間の都合もあり、涙千両箱から1つだけを取り上げてアドバイスを送るかたちになっていました。10〜20人の小さめの会場では、一つひとつ の「泣き言」に丁寧にアドバイスをしていくのだそうです。
今回の会場で取り上げられたたった1つの「泣き言」は、「最近、朝起きるのがつらい」というもの。多くの人が抱えるこの悩みに対しての吉田さんのアドバイスは、涙活の体験型講座に相応しいものでした。

そのアドバイスとは、「寝る前に泣いてくだ さい」というもの。

泣くことでストレスが解消されるのはすでに述べた通りですが、これにより身体もリラックスでき安らかな眠りが訪れるそうです。良質な眠りの後には、すっきりした目覚めが訪れるそうです。

少し心配なのが、「寝た後に眠ったら、目が腫れてしまわないか」ということです。
しかしこれは、冷たいタオルと温かいタオルを交互に目にあてることで解消できます。



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体験型講座の後は、吉田さんが「そもそもなぜ涙活を始めたか」の話になりました。

これは、吉田さんが「吉田先生」 として高校で教鞭をとっていたときにまでさかのぼります。

「吉田先生」は、生徒の相談にたくさん乗っていました。
そのなかで、吉田先生は「生徒の感情の現れ方」と「相談に来る頻度」が関係しているということに気づきます。

人は、感情が高ぶると、泣きだしたり怒りだしたりします。
それは高校生ももちろん例外ではありません。
吉田先生に相談しに来た生徒で、つい怒りだしてしまった生徒は、その後も何度も相談に訪れました。
しかし、泣きだしてしまった生徒の方はあまり相談に来なくなったのです。

もちろん個人差はありますが、この経験から、吉田先生は「涙には何か人をスッキリさせる効果があるのではないか」と思ったそうです。


このような考え方を持っているのは、吉田さんだけではありませんでした。
吉田さんの友人でも、「涙を流すことは人の心をすっきりさせるのではないか」と考える人がいました。この友人と一緒に、吉田さんは「泣く会」を開きます。
ストレスを溜めている人が思い切り泣ける会を企画・実施したところ、やはり「泣いた後はすっきりした」と感じた人が多かったそうです。吉田さんが、「涙の効果」を確信したのはこのときだったといいます。

この出来事をきっかけとして、「涙の効用」を広めるべく、吉田さんは動き始めました。その過程のなかで、上でも取り上げた有田秀穂先生(「涙の論文」を発表している脳生理学者でもあります)とともに、感涙療法士の資格を立ち上げたわけです。
聞いている会場のお客さんたちも、なるほどという表情をしていました。



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締めは、健康教育についての話です。

泣くことによってなぜ子どもたちが健康を考えられるようになるのか、その理由を述べます。
「親子で、あるいは友人、上司、部下と一緒に、たくさん映画を見て泣きましょう! 鑑賞後、なぜその一場面に泣いてしまったのかをシェアしましょう! 人が泣く瞬間、その人の大切にしている価値観が出ます。それを共有することで、泣きのツボが増えます。泣きのツボというのは、自分が涙を流しやすい分野をいいます。親子物、動物物、恋愛物、アスリート物など、どのジャンルに自分が弱いかを知ることが、自身の泣きのツボを知ることです。 泣きのツボを一緒にいる人と話すことで、自身の泣きのツボは深まります。また他人の泣きのツボを知ることで、自身に新しい泣きのツボが追加されます。
泣きのツボにその人の人生経験が投影されます。つまり、その『人』が見えてくるのです。泣くことのストレス解消効果もさることながら、泣くことで、自分のあり方も見えてきます。物理的に健康な身体を維持するだけでなく、心の健康にも、涙活は、貢献していると考えています。精神面も身体面もよくしていこうというのが、涙活をやる意味ですね」



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2015年から、50人以上の事業所では「ストレスチェック」を労働者に対して行うように義務付けられました。この義務化を受けて、吉田さんは、企業の社員に向けにも講演会をひらくことが多くなったと言っていました。
涙活は、意外なほどに「職場」との相性もよいものです。ストレス解消だけでなく、「泣きの場」を共有することで、良好な人間関係の構築や仕事のパフォーマンス向上にもつながっているということです。

涙千箱を片手に、これからも、なみだ先生の活動は続いていきます。
posted by 鍋谷萌子 at 12:28| Comment(0) | 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする