2018年09月21日

涙活ってどんなもの? ストレス解消にも役立つとされる涙活について

今、メディアで話題の「涙活」の実態を取材すべく、愛知県産業労働センター(ウインクあいち)で行われた保健研究大会(涙活講演会)をまとめました。


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今大会のテーマは、「健康教育」。健康教育とは、心身の健康の保持増進を図るために必要な知識及び態度の習得に関する教育をいいます。

※文部科学省「健康教育の推進と学校教育課の設置について」より引用
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19880701002/t19880701002.html

周りを見渡すと、愛知県の高等学校の生徒さんや校長先生・教頭先生・ 保健主事の方・養護教諭の方など、県内高等学校の関係者が約800人も参加しているのが見て取れました。
みなさん、わくわくした表情で、今か今かと登壇者を待っていました。

来賓のあいさつが終わったタイミングで、主催者が吉田英史さんを紹介していました。吉田さんは早稲田大学、同大学院で教育学や心理学を学び、高齢者施設や学校勤務を経たのち、東邦大学医学部教授の有田秀穂先生とともに「感涙療法士」の資格を創立した人です。



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吉田さんの話が始まります。
まず取り上げられたのは、「涙活とは何か」というお話。
涙活とは、積極的に泣くことで心のストレスを流すことを 目指す活動をいいます。
実は、泣くことがストレス解消になるということは、医学的に証明されているということです。

※参考URL: https://www.msd-life-science-foundation.or.jp/banyu_oldsite/symp/about/info/pdf/3-6_085_089.pdf




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「ところで、みなさん、最近、いつ泣きましたか? 最後に涙を流したのはいつですか?」
と観客に呼びかける吉田さん。
「昨日見たドラマで泣きました」
「先週見た映画で泣きました」
「もう30年近く泣いた記憶がない」
などなど 、会場のあちこちから声が挙がっていました。



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その声を受けて、吉田さんは「もう何十年も泣いてない人、本日ぜひ涙活体験をして欲しいです。普段泣いている方は、あとで話す自身の『 泣きのツボ』を深めて欲しいと思います」と続けました。

ここまでが、準備段階です。そしてここからいよいよ涙活体験が始まりました。

まずは「泣ける物語」を吉田さんが朗読するところからスタートです。

タイトルは、「涙Tシャツ」。
病気でなくなった娘の思いをTシャツに託して、前を向いて生きていこうとする母親の物語。
朗読中に、会場のここかしこからすすり泣きが聞こえてきたのが印象的でした。



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物語の朗読の後は、映像鑑賞の時間です。

次から次に感動の涙を誘う映像が会場に流れます。
その内容は、「大人になってからわかるおばあちゃんの料理の味の話」「結婚式で娘のために一生懸命にピアノを弾く父の話」などなど、家族の絆とは何かを考えさせられるものです。



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涙活体験の前に、「泣くことはストレス解消に繋がる」という話がありました。実際に涙を流した後は、もう少しここに踏み込みます。ここからは、「泣くことがなぜストレス解消になるか」ということを解説する授業です。泣く前に教えられた「概要」は、実際に泣いた後には「実感できる」解説に変わります。

吉田さんいわく、「涙を流すことによって人間の自律神経が、交感神経(緊張やストレスを促す)から副交感神経(脳がリラックスした状態にある)が優位な状態へとスイッチが切り替わる」とのことでした涙を流すことによってストレスが解消できるのは、このような仕組みによるものです。



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この「解説」が終わった後も、涙活はまだ続きます。
次に行われるのは、少しユニークな「泣き言セラピー」という体験型講座 です。涙の形をした紙に心の内側に抱えているストレスを書き出し、
涙千箱という箱に入れるというもの。普段人にはなかなか言えない泣き言やストレスを、吐き出してすっきりしてもらおうという考えのもとで作られた講座です。
吉田さん は、日本中の人たちの泣き言を回収してきたそうで、
その数は、2万枚をゆうに超えるとか!



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この集めた「泣き言」に対して、最後に吉田さんから アドバイスが送られます。今回は参加者が多かったので、時間の都合もあり、涙千両箱から1つだけを取り上げてアドバイスを送るかたちになっていました。10〜20人の小さめの会場では、一つひとつ の「泣き言」に丁寧にアドバイスをしていくのだそうです。
今回の会場で取り上げられたたった1つの「泣き言」は、「最近、朝起きるのがつらい」というもの。多くの人が抱えるこの悩みに対しての吉田さんのアドバイスは、涙活の体験型講座に相応しいものでした。

そのアドバイスとは、「寝る前に泣いてくだ さい」というもの。

泣くことでストレスが解消されるのはすでに述べた通りですが、これにより身体もリラックスでき安らかな眠りが訪れるそうです。良質な眠りの後には、すっきりした目覚めが訪れるそうです。

少し心配なのが、「寝た後に眠ったら、目が腫れてしまわないか」ということです。
しかしこれは、冷たいタオルと温かいタオルを交互に目にあてることで解消できます。



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体験型講座の後は、吉田さんが「そもそもなぜ涙活を始めたか」の話になりました。

これは、吉田さんが「吉田先生」 として高校で教鞭をとっていたときにまでさかのぼります。

「吉田先生」は、生徒の相談にたくさん乗っていました。
そのなかで、吉田先生は「生徒の感情の現れ方」と「相談に来る頻度」が関係しているということに気づきます。

人は、感情が高ぶると、泣きだしたり怒りだしたりします。
それは高校生ももちろん例外ではありません。
吉田先生に相談しに来た生徒で、つい怒りだしてしまった生徒は、その後も何度も相談に訪れました。
しかし、泣きだしてしまった生徒の方はあまり相談に来なくなったのです。

もちろん個人差はありますが、この経験から、吉田先生は「涙には何か人をスッキリさせる効果があるのではないか」と思ったそうです。


このような考え方を持っているのは、吉田さんだけではありませんでした。
吉田さんの友人でも、「涙を流すことは人の心をすっきりさせるのではないか」と考える人がいました。この友人と一緒に、吉田さんは「泣く会」を開きます。
ストレスを溜めている人が思い切り泣ける会を企画・実施したところ、やはり「泣いた後はすっきりした」と感じた人が多かったそうです。吉田さんが、「涙の効果」を確信したのはこのときだったといいます。

この出来事をきっかけとして、「涙の効用」を広めるべく、吉田さんは動き始めました。その過程のなかで、上でも取り上げた有田秀穂先生(「涙の論文」を発表している脳生理学者でもあります)とともに、感涙療法士の資格を立ち上げたわけです。
聞いている会場のお客さんたちも、なるほどという表情をしていました。



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締めは、健康教育についての話です。

泣くことによってなぜ子どもたちが健康を考えられるようになるのか、その理由を述べます。
「親子で、あるいは友人、上司、部下と一緒に、たくさん映画を見て泣きましょう! 鑑賞後、なぜその一場面に泣いてしまったのかをシェアしましょう! 人が泣く瞬間、その人の大切にしている価値観が出ます。それを共有することで、泣きのツボが増えます。泣きのツボというのは、自分が涙を流しやすい分野をいいます。親子物、動物物、恋愛物、アスリート物など、どのジャンルに自分が弱いかを知ることが、自身の泣きのツボを知ることです。 泣きのツボを一緒にいる人と話すことで、自身の泣きのツボは深まります。また他人の泣きのツボを知ることで、自身に新しい泣きのツボが追加されます。
泣きのツボにその人の人生経験が投影されます。つまり、その『人』が見えてくるのです。泣くことのストレス解消効果もさることながら、泣くことで、自分のあり方も見えてきます。物理的に健康な身体を維持するだけでなく、心の健康にも、涙活は、貢献していると考えています。精神面も身体面もよくしていこうというのが、涙活をやる意味ですね」



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2015年から、50人以上の事業所では「ストレスチェック」を労働者に対して行うように義務付けられました。この義務化を受けて、吉田さんは、企業の社員に向けにも講演会をひらくことが多くなったと言っていました。
涙活は、意外なほどに「職場」との相性もよいものです。ストレス解消だけでなく、「泣きの場」を共有することで、良好な人間関係の構築や仕事のパフォーマンス向上にもつながっているということです。

涙千箱を片手に、これからも、なみだ先生の活動は続いていきます。
posted by 鍋谷萌子 at 12:28| Comment(0) | 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする